SPI推論のコツは「型」を覚えること。センスも才能もいらない

結論から言います。SPIの推論は、ひらめきや地頭のセンスで解く問題ではありません。出題の「型」と、型ごとの手の動かし方を覚えれば、誰でも安定して得点できる単元です。

推論が解けない人の多くは、頭が悪いのではなく型を知らないだけです。大学受験までにほとんど出会わない形式なので、初見で「解き方が思い浮かばない」のはむしろ普通の反応だといえます。逆に言えば、型さえ知っていれば初見の問題でも手が動きます。

どの型にも共通するコツは、次の3手順です。

  1. 条件を図表化する(頭の中だけで解こうとしない)
  2. 確定した情報から先に埋める(「Aは3位」のような確定条件が最優先)
  3. 埋まらないところは場合分けし、選択肢を「必ず正しい/ありうる/ありえない」に仕分ける

この3手順は、どのパターンの問題でも変わりません。変わるのは手順①で書く図表の形だけです。つまり推論対策とは、「型ごとに、どんな図表を書くかを覚える作業」だと考えてください。

この記事では、頻出の5型(順序・位置・対戦・発言の真偽・内訳)について、オリジナル例題を使いながら「何をどう書くか」まで具体的に解説します。さらに、時間が足りないときの捨て問の基準、得点源にするための勉強法まで扱います。読み終えたときに、あなたの手元に「解き方の地図」が残る構成にしました。

なお、本記事の5型という分類は、SPIの提供元が公表しているものではありません。出題形式をもとに整理した独自の分類である点は、あらかじめお断りしておきます。

よくある質問

QSPIの推論は1問何分で解くべきですか?
A

目安は1問1〜2分です(公式の基準ではなく経験則です)。簡単な順序の問題は1分、場合分けが必要な問題で2分のイメージで考えてください。2分考えて図表が埋まり始めない場合は、仮の答えを選んで次の問題に進むほうが全体の得点は安定します。

QSPIの推論は捨てても大丈夫ですか?
A

丸ごと捨てるのはおすすめしません。推論は非言語の中でも出題機会が多い単元といわれ、放棄すると挽回が難しくなります。捨てるなら「単元」ではなく、場合分けが4通り以上に膨らんだ1問など、明らかに重い問題だけを1問単位で見切ってください。

QSPIで推論ばかり出る(または全く出ない)のはなぜですか?
A

出題の仕組みは公式に公表されていないため、断定できることはありません。出題の偏りを気にするより、どの型が来ても「図表化→確定情報→場合分け」の3手順で対応できる状態を作るほうが確実です。噂の傾向に合わせて対策を絞るのは避けましょう。

Q推論の型はいくつ覚えればいいですか?
A

まずは頻出5型(順序・位置・対戦・発言の真偽・内訳)で十分です。この5つで、書くべき図表の判断がほぼつきます。平均や割合がからむ数量推論は内訳型の発展形なので、非言語全体の計算対策とあわせて押さえていくのが効率的です。

Qチェックボックス形式のコツはありますか?
A

消去法が使えないため、選択肢を1つずつ図表に照らして「必ず正しいのか、ありうるだけなのか」を判定します。場合分けが2通り残っているなら、その両方で成り立つものだけが正解です。どうしても判定が割れる問題は、見切って次に進む判断も必要です。

SPIの推論とは?非言語で最も差がつく単元

推論とは、与えられた条件から「確実にいえること」を導く問題です。SPIの能力検査のうち、非言語(計数)分野に含まれます。計算力ではなく条件整理力を問う点で、他の単元とは毛色がはっきり違います。

SPIは国内で広く使われている適性検査です。提供元の公式サイトによると、年間利用社数は16,500社、受検者数は276.6万人とされています(いずれも2026年3月期時点の公式サイト掲載値。リクルートマネジメントソリューションズ「SPI3」、2026年9月14日閲覧)。受検者数が多いということは、他の受検者との相対的な位置で見られる場面が多いということでもあります。だからこそ、差がつきやすい推論の出来は軽視できません。

推論の問題文には、「確実にいえるのはどれか」「必ず正しいものを選べ」といった言い回しがよく登場します。ここが最大のポイントです。問われているのは「たぶんこうなりそう」ではなく「条件からそれ以外ありえないか」です。この一点を意識するだけでも、選択肢の選び間違いは減ります。

SPIそのものの出題構成や非言語全体の頻出単元については、SPI非言語の対策法をまとめた記事で扱っています。対策の開始時期に迷っている人はSPI対策をいつから始めるべきかの記事もあわせて確認してください。この記事は推論に絞って深掘りします。

推論が「難しい」と感じる本当の理由

推論が難しく感じる理由は、大きく3つに整理できます。

  • 形式に慣れていない:中学・高校の数学では、答えが1つに決まる問題がほとんどです。推論は「複数の可能性が残ったまま答える」ことがあり、そこで手が止まります
  • 条件が複数同時に効く:条件が4〜5個あり、1つずつでは何も決まりません。組み合わせて初めて絞れる構造になっています
  • 頭の中で処理しようとする:苦手な人ほど図を書かずに考え込みます。人間の短期記憶で5人分の順番を保持するのは、そもそも無理があります

裏を返せば、形式に慣れて、条件を紙(またはメモ)に落とし、組み合わせの処理を機械的に行えば難易度は一気に下がります。「難しい単元」ではなく「慣れていない単元」と捉え直すところがスタートラインです。

チェックボックス形式は消去法が使えない

推論では、「あてはまるものをすべて選びなさい」というチェックボックス形式が出ることがあります。この形式は、通常の択一式より厄介です。

択一式なら、消去法で3つを削れば残り1つが答えになります。しかしチェックボックス形式では、選択肢それぞれについて「必ず正しいのか、ありうるだけなのか」を独立に判定しなければなりません。1つでも判定を誤れば不正解になります。

コツは、選択肢を1行ずつ図表に照らして確認することです。場合分けが2通り残っているなら、「その選択肢は2通りすべてで成り立つか」を見ます。すべてで成り立てば「必ず正しい」、片方だけなら「ありうるだけ」で不正解です。この判定基準を頭に入れておくだけで、チェックボックス形式の精度は上がります。

全型共通!推論を解く3手順(図表化→確定情報→場合分け)

SPI推論を解く3手順(図表化・確定情報から埋める・場合分け)の図解

ここが記事の背骨です。推論のコツは、型ごとにバラバラの解法を覚えることではなく、共通する3手順を固定化することにあります。

手順①:条件を読んだら必ず手を動かして図表化する

問題文を読みながら、条件を図や表に置き換えます。順序なら1位〜5位の枠、位置なら座席のマス目、対戦なら星取表、発言の真偽なら発言表、内訳なら合計欄つきの表です。「読んでから書く」のではなく「読みながら書く」のがコツです。条件を2つ読んだ時点で、もう枠は書き終わっている状態が理想です。

手順②:確定する条件から先に埋める

条件には2種類あります。「Aは3位」のようにその場で位置が決まる確定情報と、「AはBより上」のように相手がいないと決まらない相対情報です。必ず確定情報から埋めてください。順番を逆にすると、書いては消すの繰り返しになり時間を溶かします。

相対情報も、扱い方を決めておくと速くなります。たとえば「AはBより速い」は「A→B」という矢印でメモし、「AとBの間に2人いる」は「A□□B」という塊で書きます。塊にしてしまえば、あとは枠に入る場所を探すだけの作業になります。

手順③:埋まらないところは場合分けする

確定情報と相対情報を入れても全部は埋まりません。それが普通です。ここで粘って考え込むのではなく、「Aが2位のとき/Aが5位のとき」と機械的に枝分かれさせます。多くの問題は、2〜3通りに収まるように作られています。

場合分けが終わったら、選択肢を「必ず正しい/ありうる/ありえない」の3つに仕分けます。すべての場合で成り立つものだけが「確実にいえること」です。ここを曖昧にしたまま直感で選ぶのが、最も多い失点パターンです。

最大のNGは、頭の中だけで解こうとすることです。テストセンターでも自宅受検でも、計算用紙やメモは使えます。書かないという選択肢は最初から捨ててください。

5つの型と、書くべき図表の対応は次の通りです。以降のセクションの索引として使ってください。

型

見分け方(問題文のキーワード)

書くべき図表

①順序

順位・速い順・到着順・年齢順

1位〜n位の枠(数直線)

②位置

隣・向かい・左から◯番目・◯階

座席図・マス目

③対戦

総当たり・勝敗・トーナメント

星取表・山型の図

④発言の真偽

うそをついている・本当のことを言っている

発言表(仮定ごとの◯×)

⑤内訳

合計◯個・少なくとも・それぞれ何個

合計欄つきの表

【型別】SPI推論の解き方とオリジナル例題5選

SPI推論の頻出5パターン(順序・位置・対戦・真偽・内訳)の一覧図

ここからは5つの型を、「見分け方→例題→図表の書き方→埋める過程→答え」という同じ流れで解説します。例題はすべてこの記事のために作成したオリジナルです。実際の出題とは異なりますが、手の動かし方の練習には十分に使えます。

読むだけでは身につきません。できればメモを用意し、解説を読む前に自分で図表を書いてみてください。書き出しの1手が思いつくかどうかが、本番での差になります。

①順序:数直線に「確定→相対」の順で並べる

見分け方:問題文に「順位」「速い順」「到着順」「年齢が高い順」があれば順序型です。

例題:A〜Eの5人が学内のマラソン大会に出場しました。同着はいません。次のことが分かっています。

  • ア:Dは4位だった
  • イ:BはDより先にゴールした
  • ウ:AとCの間には、ちょうど2人がゴールした
  • エ:Eは3位ではなかった

このとき確実にいえるのは、次のうちどれでしょうか。
(1)Aは2位である (2)Bは3位である (3)Cは5位である

図表の書き方:まず1位から5位までの枠を横一列に書きます。これが数直線です。順序型では、この枠以外を書く必要はありません。

埋める過程:条件アは確定情報なので、真っ先に4位の枠にDと書きます。次に条件ウを見ます。「間に2人」は「A□□C」または「C□□A」という4マスの塊です。5つの枠に4マスの塊が入る場所は「1位〜4位」か「2位〜5位」しかありません。4位はDで埋まっているので、入るのは「2位〜5位」だけです。つまりAとCは2位と5位のどちらかに入ります。

残った枠は1位と3位で、そこに入るのはBとEです。条件エよりEは3位ではないので、E=1位、B=3位に決まります。条件イ(BはDより先)も、B=3位・D=4位で矛盾しません。

1位

2位

3位

4位

5位

E

AまたはC

B

D

CまたはA

答え:AとCの順番は最後まで決まりません。よって(1)と(3)は「ありうる」にすぎず、確実にいえるのは(2)Bは3位であるです。

この例題のコツは2つあります。1つは「間に2人」を塊として図示したこと。もう1つは、最後まで決まらない部分があっても気にせず答えを出したことです。推論では「全部決まらないと解けない」という思い込みを捨てるのが重要です。

②位置:座席図・マス目を書いて両端から埋める

見分け方:「隣」「向かい」「左から◯番目」「◯階に住んでいる」があれば位置型です。

例題:A〜Eの5人が、ステージに向かって横一列に並びました。位置は左から1番目〜5番目とします。

  • ア:Bは左端に並んだ
  • イ:AとBの間には、ちょうど2人が並んだ
  • ウ:AはCと隣り合っている
  • エ:Cは中央(左から3番目)ではない
  • オ:DはEより右に並んだ

このとき、Dは左から何番目でしょうか。

図表の書き方:5つのマス目を横に書き、左端・右端が分かるように「左」「右」と書き添えます。位置型では、端が決まる条件が最も価値が高いので、そこから攻めます。

埋める過程:条件アは確定情報です。1番目にBを入れます。条件イより、AとBの間に2人なので、Aは4番目です(B=1、間が2番目と3番目)。条件ウよりAの隣はCですから、Cは3番目か5番目。条件エで3番目が消えるので、C=5番目に決まります。

残った2番目と3番目に入るのはDとEです。条件オ(DはEより右)より、E=2番目、D=3番目となります。

左から1番目

2番目

3番目

4番目

5番目

B

E

D

A

C

答え:Dは左から3番目です。

位置型には、円卓に座るタイプや、マンションの階と部屋を当てるタイプもあります。円卓の場合は円を書いて座席番号を振り、「向かい合う」が固定されることを利用します。階のタイプは縦にマス目を積み、「◯より2つ上」を塊として扱います。どれも「マス目を書いて端や確定位置から埋める」という手順は同じです。図の形が変わるだけだと考えてください。

③対戦:星取表(リーグ)と山型の図(トーナメント)を使い分ける

見分け方:「総当たり」「リーグ戦」「勝敗」なら星取表、「トーナメント」なら山型の図です。

例題:社内イベントで、A〜Dの4チームが総当たり戦(各チーム1回ずつ対戦)を行いました。引き分けはありません。

  • ア:Aは全勝した
  • イ:BはCに勝った
  • ウ:Dは1勝2敗だった

このとき確実にいえるのは、次のうちどれでしょうか。
(1)Bは2勝1敗である (2)Cは全敗である (3)DはBかCのどちらかに勝っている

図表の書き方:縦横にA〜Dを並べた星取表を書きます。ポイントは、1つの試合結果が表の2か所に入ることです。AがBに勝った瞬間に、A行B列に「○」、B行A列に「×」を同時に書きます。ここを片方だけ書くと混乱します。

埋める過程:条件アより、A行はすべて○、B・C・D行のA列はすべて×です。条件イより、B行C列が○、C行B列が×。条件ウより、Dは1勝2敗で、Aには負けているので、Dの1勝はBかCのどちらかに対するものです。

A

B

C

D

勝敗

A

—

○

○

○

3勝0敗

B

×

—

○

?

?

C

×

×

—

?

?

D

×

?

?

—

1勝2敗

ここで場合分けします。全6試合なので、4チームの勝ち数の合計は6です。Aが3勝、Dが1勝なので、BとCの勝ち数の合計は2になります。

  • ケース1:DがBに勝った場合 → Bは1勝2敗、Cは1勝2敗(CはDに勝つ)
  • ケース2:DがCに勝った場合 → Bは2勝1敗、Cは0勝3敗

答え:(1)も(2)もケース2でしか成り立たないので「ありうる」止まりです。両方のケースで成り立つのは(3)DはBかCのどちらかに勝っているです。

星取表を使うときは、「勝ち数の合計=試合数」というチェックを持っておくと強力です。引き分けなしの総当たりでは必ず一致するので、埋め間違いにも気づけます。トーナメントの場合は山型の図を書き、「優勝チームは全勝」「1回戦で負けたチームは1敗だけ」といった構造に注目します。

④発言の真偽(正誤):発言表+「仮定して矛盾を探す」

見分け方:「うそをついている人が1人いる」「本当のことを言っているのは1人だけ」があれば真偽型です。正誤のコツを探している人は、この型を押さえてください。

例題:サークルの部室で、備品が1つ壊れていました。壊したのはA・B・Cのうち1人です。3人の発言は次の通りで、このうち本当のことを言っているのは1人だけです。

  • A:「壊したのはCだ」
  • B:「壊したのはAではない」
  • C:「私は壊していない」

壊したのは誰でしょうか。

図表の書き方:「犯人がAのとき/Bのとき/Cのとき」を列にした表を書き、各発言が真(○)か偽(×)かを埋めます。真偽型は総当たりで仮定するのが最短ルートです。悩むのではなく、3通り試して矛盾を探します。

仮定

Aの発言

Bの発言

Cの発言

本当を言った人数

犯人=A

×

×

○

1人

犯人=B

×

○

○

2人

犯人=C

○

○

×

2人

埋める過程:犯人がAだと仮定すると、Aの「壊したのはC」は偽、Bの「壊したのはAではない」も偽、Cの「私は壊していない」は真です。本当のことを言っているのは1人だけなので、条件に合います。犯人がBの場合はBとCの2人が真になり、犯人がCの場合はAとBの2人が真になるため、どちらも条件に反します。

答え:壊したのはAです。

真偽型のコツは、仮定を1つずつ立てて「本当のことを言った人数」を数えることに尽きます。発言の内容を読み比べて推理しようとすると迷いますが、表にして人数を数えるだけなら機械作業です。

この型の親戚に、命題(「PならばQ」)の問題があります。ここで覚えることは1つだけで十分です。「PならばQ」が正しいとき、確実にいえるのは対偶の「QでないならPでない」です。「QならばP」(逆)や「PでないならQでない」(裏)は必ずしも正しくありません。対偶だけ押さえておけば、多くの命題問題は処理できます。

⑤内訳:合計を固定して表にし、整数条件で絞る

見分け方:「合計◯個」「それぞれ何個」「少なくとも」があれば内訳型です。

例題:学園祭の売店に、赤・青・白の3種類のキャンディが合計10個あります。

  • ア:青の個数は、白の個数のちょうど2倍である
  • イ:白の個数は、赤の個数より少ない
  • ウ:どの色も1個以上ある

このとき確実にいえるのは、次のうちどれでしょうか。
(1)赤は7個である (2)青は4個である (3)赤は4個以上である

図表の書き方:赤・青・白の欄と、合計欄をつけた表を書きます。内訳型では合計が固定されていることが最大の武器です。合計欄を必ず書いてください。

埋める過程:白の個数を基準にします。条件アより青は白の2倍なので、白が1個なら青は2個、白が2個なら青は4個、白が3個なら青は6個です。合計10個から逆算して赤を出し、条件イ・ウで確認します。

ケース

赤

青

白

合計

判定

白=1

7

2

1

10

成立

白=2

4

4

2

10

成立

白=3

1

6

3

10

不成立(白>赤)

ここで効いているのが「個数は0以上の整数」という暗黙の条件です。白は1個・2個・3個…と飛び飛びの値しか取れないため、調べるべき候補が数個しかありません。この整数条件を意識すると、内訳型は「全部書き出す」だけで片がつきます。

答え:成立するのは2ケースです。赤は7個または4個なので、(1)は「ありうる」止まり。(2)も同様です。両方で成り立つ(3)赤は4個以上であるが答えになります。

平均・割合がからむ数量推論は、この内訳型の発展形です。「平均×人数=合計」という関係を使って合計を固定し、あとは同じように表で絞ります。計算そのものの練習は推論というより計算単元の領域なので、SPI非言語の頻出単元と対策法をまとめた記事で確認してください。

時間が足りない人へ。捨て問の見極めと時間配分のコツ

SPIで時間が足りないときの良い例(解ける問題に時間を回す)と悪い例(1問に固執)の比較図

推論で最も多い悩みが「時間が足りない」です。結論から言うと、推論を丸ごと捨てるのはおすすめしません。筆者の受検・指導経験による整理では、非言語の中でも出題機会が多い単元であり、ここを放棄すると取り返しがつきにくいからです。捨てるなら「単元」ではなく「1問」単位で捨ててください。

なお、以下の時間の目安は公式に公表された基準ではなく、あくまで経験則にもとづく目安です。受検方式や問題によって体感は変わるので、自分の練習結果で微調整してください。

捨て問と判断する3つの基準

次の3つのどれかに当てはまったら、その問題は「深追いしない」と決めてしまいましょう。

  1. 図表を書いて1分たっても、枠が1つも埋まり始めない:確定情報が見つからない問題は、そこから先も時間を食う可能性が高いです
  2. 場合分けが4通り以上に膨らんだ:多くの問題は2〜3通りに収まります。4通り以上になったら、条件の読み落としか、そもそも重い問題です
  3. チェックボックス形式で、選択肢の判定がどうしても割れる:全選択肢を正しく判定しないと得点にならないため、費用対効果が悪くなります

捨てると決めたら、空欄にはせず仮の答えを選んでから次に進みます。誤答の扱いを含む採点方式は公式に詳細が公表されていないため断定はできませんが、一般的な対策としては、空欄にせず埋めて次に進む人が多いようです。

1問1〜2分が目安。「2分で見切る」を決めておく

推論1問にかける時間は、1〜2分を目安にしてください。簡単な順序の問題なら1分、場合分けが必要な問題で2分というイメージです。

大切なのは、本番で悩む前に「2分で見切る」というルールを先に決めておくことです。試験中に「あと少しで解けそう」と感じている状態は、たいてい客観的には行き詰まっています。ルールを事前に決めておけば、その判断を感情ではなく機械的に下せます。

また、問題数や制限時間は受検方式によって異なり、公式には細かく公表されていません。「何問出るか」を気にするより、1問あたりの時間感覚を体に入れるほうが実戦的です。練習の段階からストップウォッチを使い、2分たったら強制的に次へ進む訓練をしておきましょう。

【現役実務者の視点】企業はなぜ推論を重視するのか

そもそも、なぜ企業は推論のような問題を課すのでしょうか。採用側で見ていると、推論は「不完全な情報から確実にいえることを積み上げる力」の代理指標として扱われやすい単元です。

仕事の多くは、情報が全部そろった状態では始まりません。分かっている事実がいくつかあり、そこから「確実にいえること」と「まだ仮説にすぎないこと」を切り分けて、次の一手を決めます。推論の問題は、そのプロセスをかなり圧縮したミニチュアだといえます。論理的思考力や構造化能力を短時間で測りたい企業にとって、扱いやすい形式なのです。

とはいえ、筆者が関わった採用の範囲では、実際の使われ方はシンプルでした。合格ラインを設定して最低限の足切りに使うか、面接の参考情報として眺める程度にとどめる企業が多い印象です。ただし運用は企業によるため、SPIの点数がどこまで評価に影響するかは一概にはいえません。それでも受検者側としては、面接に進むための通行手形と割り切り、型の暗記で効率よく超えるのが合理的です。

一方で、この通行手形の重さは人によって変わります。学歴や学生時代の実績に自信がない人ほど、SPIは力を入れる価値があります。書類の段階で目立ちにくい人でも、検査は準備で改善しやすい領域だからです。逆に言えば、ここを落とすと面接で挽回する機会そのものが減ってしまいます。

なお、ベンチャーやスタートアップにはSPIを課さない企業も少なくありません。志望先がその領域に寄っているなら、SPI対策に過剰な時間を投じる必要はないでしょう。ただし、SPIを課すかどうかは企業ごとに異なるため、志望先の選考フローを必ず確認してください。大手やメガベンチャーを併願するなら避けて通れないので、「受ける企業の選考フローを先に確認してから、かける時間を決める」という順番をおすすめします。

推論を得点源にする勉強のコツ

推論の勉強は、量より「型の定着」を優先してください。やることは3つだけです。

①1冊の教材で5型を1周し、図表を書く癖をつける

教材は複数買わず、1つを使い倒すほうが結果につながります。同じ教材を繰り返すと、「この問題文の言い回しはこの型だ」という反射が育つからです。1周目は時間を気にせず、必ず図表を手で書いて解いてください。頭の中で解いて正解してしまうと、型が定着しないまま進んでしまいます。

②2周目は解き直しではなく「型の判定」だけを高速で回す

問題文を読んで「これは対戦型、星取表」と口に出し、実際に図表の枠だけ書いて次へ。これを20問分やると、型の見分けにかかる時間が一気に短くなります。推論で時間が足りない人は、解く速度より「何を書くか決めるまでの速度」が遅いケースが多いです。

③仕上げは時間を計り、「2分見切り」を練習する

本番で捨て問の判断ができるかどうかは、練習でやったことがあるかどうかで決まります。タイマーを置き、2分たったら途中でも次の問題に移る練習を、最低でも1セットはやっておきましょう。

復習は「型の見抜きミス」と「手順ミス」に分ける

間違えた問題は、原因を2つに仕分けてください。

  • 型の見抜きミス:そもそもどの図表を書けばよいか分からなかった → 見分け方のキーワード(順位・隣・総当たり・うそ・合計)を覚え直す
  • 手順ミス:図表は正しかったが、確定情報の処理順を間違えた、場合分けを1つ落とした → 埋める順番と場合分けの漏れをチェックする

この仕分けをせずに「もう1回解き直す」だけだと、同じ間違いを繰り返しがちです。苦手意識がある人ほど、原因の分類にひと手間かけてください。型が身につくと、推論はパズルのように手が進むようになります。安定した得点源に変えやすい単元です。

非言語全体の勉強の進め方はSPI非言語の対策記事、対策を始める時期の考え方はSPI対策の開始時期の記事で解説しています。

まとめ:推論は「図表化→確定情報→場合分け」で解ける

SPIの推論は、3手順と5型で攻略できます。①条件を図表化する、②確定情報から先に埋める、③残りを場合分けして選択肢を「必ず正しい/ありうる/ありえない」に仕分ける。この流れはどの型でも共通です。なお、本記事の「頻出」の整理は筆者の受検・指導経験による独自分類です。

型

見分け方

書くべき図表

順序

順位・速い順・到着順

1位〜n位の枠

位置

隣・向かい・左から◯番目

座席図・マス目

対戦

総当たり・勝敗・トーナメント

星取表・山型の図

真偽

うそをついている・本当のことを言っている

発言表(仮定ごとの◯×)

内訳

合計◯個・少なくとも

合計欄つきの表

時間が足りないときは、単元ごと捨てるのではなく1問単位で見切ります。1問1〜2分、2分で見切る。この基準を事前に決めておきましょう。

まずは今日、この記事の例題を1問でいいので手を動かして図表を書くところから始めてください。書き出しの1手が決まれば、推論は驚くほど速く解けるようになります。